注文住宅を考える中で、「収納はどのくらい必要か」「どこに設ければ片付けやすいか」と迷う方は少なくありません。
- 収納を増やしても使いにくくならないか不安
- 家事の流れに合う収納場所が分からない
- 今の片付けの悩みを新居で解消したい
こうした悩みは、収納量だけでは答えが出にくいものです。収納アドバイザーに相談すると、家族の持ち物や生活動線(家の中で日常的に移動する経路)を整理しながら収納計画を検討できます。設計担当者と連携できる相談先であれば、間取りとあわせて考えることも可能です。
この記事では、注文住宅における収納アドバイザーの役割や相談するメリット、片付けやすい家づくりのポイントを解説します。

注文住宅における収納アドバイザーとは

注文住宅の収納は、広さだけで使いやすさが決まるわけではありません。家族が何を持ち、どこで使い、どう片付けるかまで考えて配置することが大切です。
この記事では、持ち物や暮らし方を整理しながら収納計画について助言する専門家を「収納アドバイザー」と呼びます。ただし呼び方や業務範囲は統一されておらず、対応内容は資格や所属先、事業者によって異なります。
家族の暮らしから必要な収納を考える役割
収納アドバイザーへの相談は、クローゼットや棚の大きさを決めるためだけのものではありません。バッグを毎日リビングへ持ち込む家庭と、玄関で身支度を済ませたい家庭では、使いやすい収納の位置が変わります。家族の持ち物と生活の流れを整理し、その家族に合う収納の形を考えることが、収納の専門家に相談する意味です。
なお、似た名称の「整理収納アドバイザー」は、ハウスキーピング協会が認定する資格で、2級・準1級・1級の講座や試験の制度があります。一般的な呼び方としての「収納アドバイザー」は、この資格を指すとは限りません。
また、資格があっても設計や図面の変更まで対応できるとは限りません。相談先は資格名だけで判断せず、注文住宅の収納計画の経験や、設計担当者(建築士など)と連携できるかを確認しましょう。
参照元:【公式】ハウスキーピング協会
間取りと収納を一緒に考える
注文住宅では、収納を間取りの一部として考えることが重要です。玄関収納を大きくしても、家族がそこで使わない物ばかり置けば、別の場所に持ち物があふれます。パントリー(キッチン近くの食品庫)も、動線や買い置き量によって使いやすい位置や広さが変わります。
収納を考えるときは「何を入れるか」に加えて、誰が、いつ、どこで使うかまで確認します。ただし、間取りへの反映には建物の構造や建築に関するルールの確認も必要なため、設計担当者と連携しながら進めるのが一般的です。
設計担当者やインテリアコーディネーターとの役割の違い
一般的には、設計担当者(建築士など)は敷地条件や建物全体を踏まえて間取りや構造を設計し、インテリアコーディネーターは内装や家具、設備を含めて室内空間を整えます。収納アドバイザーは、そこに片付けや持ち物、日々の行動という暮らしの視点を加えます。
ただし、それぞれの担当範囲は住宅会社や契約内容によって異なり、はっきり分かれていない場合もあります。誰がどこまで対応するのかを打ち合わせの早い段階で確認し、各担当者と視点を共有できると、見た目と暮らしやすさの両方を検討しやすくなります。
注文住宅で収納アドバイザーに相談するメリット

収納の相談は必須ではありませんが、持ち物が多い家庭、片付かない原因が分からない方、家事動線を重視したい方には、専門的な視点を取り入れるメリットが大きいといえます。
持ち物に合わせて必要な収納量を考えられる
ウォークインクローゼットやシューズクローク(玄関脇に設ける靴や外用品の収納)は魅力的ですが、広い収納ほど床面積も必要です。
必要な収納量は、次の手順で考えると把握しやすくなります。
- 今使っている収納の幅・奥行き・高さと、物があふれていないかを確認する
- 新居へ持っていく物と処分する物を分ける
- 季節用品や、今後増えそうな物の分の余裕を見込む
- 棚板の枚数やハンガーパイプの長さなど、実際にしまえる寸法で確認する
収納の広さは、床面積だけでは判断できません。棚の奥行きがしまいたい物に合っているか、扉や出入口の位置が出し入れの妨げにならないかもあわせて確認しましょう。相談前に今の収納を写真に撮り、しまいたい物を場所ごとに分類しておくと伝えやすくなります。季節家電やスーツケースなど大きな物は、寸法や数も控えておくと役立ちます。
衣類が多い家庭とアウトドア用品が多い家庭では、必要な収納の形が違います。収納の名称から間取りを決めるのではなく、自分たちの持ち物から必要なスペースを考えることがポイントです。
生活動線に合わせて収納場所を考えられる
片付けやすさには、収納量と同じくらい収納場所が関係します。帰宅後に上着やバッグをリビングへ置いてしまうなら、玄関からリビングまでの間に収納を設ける方法があります。洗濯物をしまうために何度も往復しているなら、洗濯する場所と衣類収納の位置関係を見直す方法もあります。
今の暮らしで片付けにくい場面を洗い出すと、間取りで改善したいポイントが見えてきます。
入居後の収納に関するミスマッチを減らしやすくなる
図面上では十分に見えた収納でも、暮らし始めると「奥まで使いにくい」「しまいたい場所から遠い」と感じることがあります。こうした設計時の想定と入居後の使い勝手のずれが「収納のミスマッチ」です。専門的な視点を取り入れると、完成後の暮らしを想像しながら検討できるため、設計段階でずれに気づきやすくなります。
ただし、相談すれば必ず片付く家になるわけではありません。自分たちの生活を振り返りながら一緒に考えることが重要です。
片付けやすい注文住宅にする収納と間取りのポイント
ここからは、相談の有無にかかわらず、間取りを検討するときに確認しておきたいポイントを整理します。
使う場所の近くに収納を配置する
片付けやすい家の基本は、使った物を戻しやすい場所に収納をつくることです。玄関には靴だけでなく外出時の小物や子どもの持ち物を置くことがあり、キッチンでは食材の買い置きと調理器具とで使う頻度も場所も異なります。
「この収納には何を入れるか」を間取りの段階で具体的に考えておくと、棚の奥行きや扉の形も検討しやすくなります。
家事動線と収納動線を一緒に考える
家事動線(料理や洗濯などで移動する経路)を短くしても、収納場所が離れていると片付けのための移動が増えます。収納動線とは、物を取り出し、使った後に元へ戻すまでの移動のことです。
洗濯では洗う・干す・しまう場所の位置関係が、料理では食材を運ぶ流れと食器や調理器具の収納位置が関係します。家事だけでなく、家族全体の生活動線と重ねて考えることが大切です。
平屋と2階建てで動線がどう変わるか知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
【平屋vs2階建て】注文住宅はどっちがいい?価格と間取りから考える失敗しない選び方
収納スペースを増やしすぎない
収納を多く設けると安心感はありますが、その分リビングや寝室などに使える面積との調整が必要です。大きな収納を一か所にまとめる方法が合う家庭もあれば、使う場所ごとに分散したほうが片付けやすい家庭もあります。
広さだけで判断せず、必要な量、配置、使い方の3点を確認しましょう。
注文住宅で収納アドバイザーに相談するときのポイント

間取りが固まる前に相談する
収納の位置や大きさは、廊下やほかの部屋の広さにも関わります。間取りがほぼ完成してから収納を追加しようとすると、調整が難しくなる場合があります。収納を重視するなら、間取りを考え始めた段階で、キッチンや洗面、リビングの使い方とあわせて相談しましょう。
相談先の対応範囲を事前に確認する
収納の相談先には、住宅会社の担当者に相談する方法と、外部の専門家に依頼する方法があります。
| 相談先 | 特徴 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 住宅会社の担当者 | 間取りの打ち合わせの中で収納も相談でき、図面へ反映しやすい | 収納提案の経験や、どこまで具体的に相談できるか |
| 外部の専門家 | 片付けや持ち物の整理について専門的な助言を受けやすい | 相談料や、提案を設計担当者へどう伝えるか |
前述のとおり、対応範囲は事業者によって異なります。特に重要なのは、住宅収納の提案経験、設計担当者との連携、料金と受け取れる資料の3点です。具体的には次の項目を確認しておくと安心です。
- 注文住宅の収納計画を提案した経験があるか
- 過去の提案例や住宅収納の事例を見せてもらえるか
- 間取りの検討段階で設計担当者と連携してもらえるか
- 相談の範囲が助言のみか、図面への反映まで含むか
- 提案内容を実際に設計図へ反映する担当者は誰か
- 相談料の有無や、提案書・収納計画図(収納の位置や棚の寸法をまとめた資料)など相談後に受け取れる資料の形式
資格を重視する場合は、資格の正式名称と認定団体に加えて、注文住宅での収納提案の経験もあわせて確認しましょう。
また、外部の専門家に依頼する場合は、提案を住宅会社がそのまま図面へ反映できるとは限りません。契約前に、次の3点を住宅会社へ確認しておくと安心です。
- 外部専門家が打ち合わせに参加できるか
- 外部専門家の提案を図面に反映できるか
- 間取りの変更に追加費用がかかるのはどの時期からか
今の住まいで困っていることを伝える
相談時には、「収納を増やしたい」という要望だけでなく、現在困っている場面を伝えることが大切です。
- リビングにバッグや書類が集まりやすい
- 洗濯物をしまうための移動が多い
- 子どもの荷物を置く場所が定まらない
具体的な困りごとが分かると、新居で必要な収納の位置や使い方を考えやすくなります。今使っている収納の写真や、収納したい物のおおよその量も共有しましょう。
設計やインテリアとまとめて考える
収納は間取りやインテリアと深く関係します。収納扉の位置は家具の配置に影響し、造作収納(部屋に合わせてつくり付ける収納)は空間全体の印象にも関わるため、設計やインテリアとあわせて考えることが重要です。
matsukou(マツコウ)では、自由設計の家づくりの中で、家事動線や収納、インテリアまで含めて住まい全体を考えることを大切にしています。間取りの打ち合わせの中で、暮らしの困りごとを踏まえて収納についてもご相談いただけます。
まとめ|収納アドバイザーと片付けやすい注文住宅を考える
収納アドバイザーに相談するメリットは、収納を増やすことだけでなく、家族の持ち物や生活を整理し、使う場所、しまう場所、生活動線のつながりまで考えながら間取りを検討できることにあります。
片付けやすい住まいの形は家族によって異なります。人気の収納をそのまま取り入れるより、今の家で困っていることを整理し、設計段階から相談することが大切です。収納の広さや配置に迷っている方は、間取りが固まる前に住宅会社へ相談してみましょう。


