「土地はあるけれど、家を建てる費用はいくら必要なのか?」
そんな疑問を感じながら、新築計画の進め方に迷っている方は多くいます。土地ありの家づくりでは、次のようなポイントで悩むことが少なくありません。
- 本体工事以外にどんな費用がかかるのか知りたい
- 土地の状態によって費用が変わると聞き不安を感じている
- 総額がどの程度になるのか事前に把握しておきたい
土地ありの場合の費用構造は、内訳を理解すれば無理なく整理できます。
本記事では、本体工事・付帯工事・諸費用の3つをわかりやすく解説し、見落としやすい追加費用も確認。予算計画の精度が上がり、安心して家づくりを進められる内容となっています。

松本拓久
役職:代表取締役
資格:一般耐震診断士、大阪府被災地危険度判定士
20歳から約30年にわたり大工として新築・リフォームの現場に携わり、1,000件以上の工事に携わってきました。2012年より株式会社matsukouの代表取締役に就任し、現場経験を活かした住まいづくりに取り組んでいます。
土地ありで家を建てる費用はどう決まる?総額把握が重要な理由

土地をすでにお持ちの場合でも、家づくりの費用は「建物代だけ」とは限りません。実際には、暮らしやすい住まいを形にするための工事や手続きがいくつか重なり、総額が決まっていきます。まずは、どのような視点で費用を考えると全体がつかみやすいのか、入り口となるポイントを整理します。
建物価格だけでは判断できない理由
家づくりの費用は、建物本体の価格だけでは見えない部分が多くあります。たとえば、外まわりの整備や暮らしに必要な設備の準備、手続きにかかる諸費用など、建物とは別に必要になる項目がいくつかあります。こうした費用が積み重なることで全体の予算が形づくられるため、家づくりを進めるときは「建物+周辺の工事や手続き」という広い視点を持つことが大切です。総額のイメージを早めにつかんでおくと、後から慌てずに資金計画を進められます。
土地あり特有の費用リスク
土地があるからといって、すべてがそのまま使えるとは限りません。土地の状態によっては、建築前に整えておく作業が必要になることがあります。古い建物が残っていれば解体が必要になり、地盤の状況次第では補強が求められることもあります。また、給排水やガスの位置によっては、引き込み直しの工事が発生するケースもあります。こうした作業が必要かどうかは土地の条件によって異なるため、「建物を建てるために土地側でどんな準備が必要か」を意識しておくと、費用の見通しがぐっと立てやすくなります。
家を建てる費用(土地あり)の内訳は3つ|本体工事・付帯工事・諸費用
土地ありで家を建てる場合でも、必要になる費用は大きく「本体工事」「付帯工事」「諸費用」の3つに分けて整理すると理解しやすくなります。建物そのものにかかる費用だけでなく、土地の状態を整える工事や家づくりに伴う手続きにも費用が発生するため、全体像をとらえておくことが予算計画の安心につながります。ここでは、それぞれの費用がどのような役割を持っているのかを順に紹介します。
本体工事費|建物そのものにかかる中心的な費用
本体工事費は、建物を形づくるために必要な費用で、構造・断熱・内装・標準的な設備などが含まれます。地域の工事単価や採用する仕様によって金額は大きく変わるため、一律に「これが相場」と示すのが難しい費用でもあります。建物本体の価格には幅があることを前提にしながら、間取りや設備選びを検討していくことが大切です。選ぶ素材や性能によって本体工事費が変動するので、こうした幅の理由を知っておくと家づくりの途中で金額差に戸惑いにくくなり、取り入れたい仕様と予算のバランスを考えやすくなります。
付帯工事費|土地の状態や暮らし方に合わせて必要となる工事
付帯工事費は、建物そのものには含まれない工事にかかる費用で、土地ありの家づくりでは特に変動が生まれやすい項目です。地盤の状況を整える工事、給排水やガスといったインフラの引き込み、外構工事などが代表的で、土地の条件によって必要になる内容が変わります。下記はよく見られる付帯工事の例です。
- 地盤の状態を整えるための工事
- 給排水やガスの引き込み工事
- 駐車スペースやアプローチなど外構部分の整備
付帯工事費は、土地の形状や接道、既存設備の有無によって変わるため、建物の価格だけでは総額が判断できない大きな理由の一つになります。特に土地ありの場合は、現地の状態によって工事内容が増減することを意識しておくと安心です。
諸費用|家づくりを進めるための手続きにかかる費用
諸費用とは、建築そのものではなく、家づくりに必要な手続きや契約に関わる費用のことです。設計や確認申請、登記、住宅ローン関連の手数料や火災保険など、細かい項目が多い一方で、見落とされがちな部分でもあります。代表的なものは次のとおりです。
- 設計や確認申請にかかる費用
- 登記・契約に関する手続きの費用
- 住宅ローンや火災保険に関わる費用
こうした諸費用は建物の仕様に関係なく必ず発生しますが、内容が細かく見えにくいため把握しづらいことがあります。本体工事・付帯工事・諸費用の3つを合わせて家づくりの総額が決まるため、この内訳を知っておくことで、資金計画の精度が大きく高まり、安心して家づくりを進められます。
土地ありで見落としがちな費用|造成・インフラ・解体で差が出る理由
土地をすでに所有している場合でも、建築前の準備によって追加費用が必要になることがあります。地盤の状態や既存のインフラ、古い建物の有無など、土地ごとに条件が異なるためです。建物本体の価格だけでは総額が判断しにくいのは、こうした“土地の個性”によって工事内容が大きく変わるためです。ここでは、特に追加になりやすい費用と、その理由をわかりやすくまとめます。
地盤・インフラ・外構で追加になりやすい費用
土地の状態によって、建物を建てる前に整えておきたい工事がいくつかあります。生活に欠かせないインフラや外構の整備など、見落とされやすい項目も多いため、あらかじめ把握しておくと安心です。主な例は次のとおりです。
- 地盤の状態が弱い場合に必要となる地盤補強
- 給排水・ガスなどのインフラの引き込み直し
- 駐車スペース・アプローチなど外構部分の整備
これらの工事は、土地の形状や高低差、既存設備の状態によって必要性が変わります。たとえば、給排水の位置が建築予定地から遠い場合は工事範囲が広くなり、費用が上がりやすくなります。土地の条件によって工事内容が変わるため、建物価格だけで予算を判断しないことが大切です。
古家解体や土地条件によるコスト変動
古家付きの土地を活用する場合は、建物の解体費用が必要になります。木造住宅でも数十万円から百数十万円以上かかるケースがあり、構造や大きさ、周囲の道路状況によって費用に幅が生まれます。解体後に基礎の撤去や整地が必要になることもあり、状況に応じて追加の工程が発生する場合があります。
さらに、土地の形状や高低差、擁壁の有無によっても必要な工事が変わります。高低差が大きい土地では安全性の確保のため大がかりな造成が求められ、土を削る・盛土を行う・擁壁を補修するといった特別な工事が必要になることがあります。こうした土地条件は費用を左右する大きな要因です。
早い段階で現地の状況を確認し、必要な工事を把握しておくことで、予算のズレを防ぎ、家づくりを安心して進められます。
費用の失敗を防ぐコツ|プロによる土地・現地チェックの重要性

家づくりの費用は、建物価格だけでなく土地の状態によっても大きく変わるため、早い段階で専門家に現地を確認してもらうことが重要です。土地の条件を正しく把握できると、必要な工事や費用の見通しが立ち、予算の組み立てがぐっと楽になります。後から判明する追加費用を防ぐためにも、建築のプロによる事前チェックは家づくりの大切なステップです。
大工・建築士・FPが確認するポイント
土地の状況や建築計画を総合的に判断するためには、現場に詳しい専門家の視点が欠かせません。大工や建築士、FP(ファイナンシャルプランナー)はそれぞれ異なる観点で土地と費用を確認し、家づくりに必要な情報を整理します。下記は主な確認ポイントの例です。
- 大工・施工の視点:地盤の強さ、建物を建てる際の作業動線、重機の入りやすさなど
- 建築士の視点:法規制、日当たりや風通し、建物配置、インフラの取り回し
- FPの視点:ローン返済の計画、総額のバランス、予備費の考え方
専門家がそれぞれの得意分野から状況を判断することで、土地の使い方や建物の計画がより具体的にイメージでき、無駄のない家づくりにつながります。複数の視点が合わさることで、費用面の不安が軽減され、後悔しない選択がしやすくなります。
費用の“想定外”をなくすための事前診断
土地ありの家づくりでは、地盤の状態やインフラの位置、周辺環境などによって追加工事が必要になる場合があります。こうした費用は図面だけでは判断できないため、事前に専門家が現地を確認しておくことが大きな安心につながります。事前診断では、次のような内容を丁寧に確認します。
- 地盤補強が必要かどうか
- 給排水やガスなどの引き込み状況
- 外構や造成に追加工事が必要か
これらのポイントを把握することで、建築前に必要な準備が明確になり、予算の見通しが立てやすくなります。早めの診断によって「予想外の費用」が発生するリスクを減らすことができ、安心して家づくりを進められます。土地の状態を正確に知っておくことは、計画をスムーズに進めるうえで非常に大切です。
まとめ
土地ありで家を建てる場合は、建物本体の価格だけでなく、土地の状態によって必要となる付帯工事や諸費用を早めに把握しておくことが大切です。地盤の強さやインフラの位置、古家の有無など、土地ごとに異なる条件が費用に影響するため、事前に専門家へ現地を確認してもらうことで想定外の出費を防ぎやすくなります。見落としがちな費用を含めて総額を把握することが、無理のない資金計画と後悔しない家づくりにつながります。


